ヒートショック対策の入浴法
2024/12/14
近年、ヒートショックは多くの家庭で懸念される問題となっています。特に寒い季節になると、暖かいリビングからトイレや脱衣所など、特に入浴時に急激な温度変化が起こることが多く、心血管系の健康リスクが高まります。このブログでは、リフォーム業界の視点から、入浴によるヒートショック対策について詳しく解説します。さらに、アルコールを摂取した後の入浴についても触れ、リスクを軽減するための方法を考えます。入浴はリラクゼーションの時間であるべきですが、温度管理や飲酒後の入浴は慎重に行うことが重要です。快適かつ安全にお風呂を楽しむためのヒントやアドバイスを提案し、皆様の生活に役立つ情報をお届けします。これからの季節、安心して入浴を楽しむためのヒートショック対策を一緒に考えていきましょう。
ヒートショックの恐怖: 寒い季節に知っておくべきこと
ヒートショックは、特に寒い季節において多くの家庭で懸念される健康問題です。入浴時にお湯の温度と周りの環境の温度差が大きくなると、心臓や血管に負担がかかり、最悪の場合、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすことがあります。
ヒートショックの具体的な症状としては、血圧の急激な変動により、めまいや立ち眩み、失神といった症状です。
例えば、入浴時をイメージしてみましょう。お風呂に入る前はリビング等の温かい温度の中で過ごしていることが多いのではないでしょうか。その状態で肌寒い脱衣所に行き、入浴の為に服を脱ぐことになります。そうすると、暖かい室内では血圧が安定していたところ、寒い脱衣所において血管が縮んで血圧が上昇してしまいます。
そしてその後、浴室に入ると更に室温が下がっており、血圧が急上昇することになります。この状態で熱めの浴槽に浸かると、今度は血管が広がり血圧が急降下します。
この血圧の乱高下に伴って、様々な症状が引き起こされてしまうのです。
ヒートショックは急激な温度変化によって引き起こされる体の反応であり、直接の死因になることはないでしょう。ですが血圧の変動により体に負担がかかることで、心血管疾患や脳卒中、めまいや立ち眩みによる転倒を引き起こし、受け身をとれずに頭をぶつけたりすることによる外傷などを引き起こすきっかけになってしまいます。
温度のバリアフリー
近年、リフォーム業界でもこの問題に注目が集まっています。ヒートショック対策のポイントとして、血圧の急激な変動を抑える「温度のバリアフリー」が重要視されています。
陽の落ちた夕方ごろから「屋内と屋外」は当然のこと、暖かい場所としては、リビングやキッチン、寒い場所としてはトイレや脱衣所・ふろ場など、翌朝、日が昇るまで家の中といえども、徐々に寒暖差が広がっていきます。「温度のバリアフリー」とは、入浴時に関わらず、日常生活でのこの”寒”段差を緩和することが目的です。
ヒートショックの特徴
消費者庁ウェブサイトによると、ヒートショックに関わらず”入浴中の事故死者数”は年間推計約19000人。入浴事故と血圧の変動は深く関係していると言われ、65歳以上のいわゆる高齢者の溺死者数が10年前より大きく増加しているデータがあります。外気温が低くなる1月は、入浴中に心肺機能停止となる人が最も少ない8月のおよそ11倍で、12月から2月にかけて全体の約5割が発生しています。この原因はヒートショックによるものと考えられます。
入浴中のヒートショックにより湯船に入って気を失って溺死していた。心筋梗塞によって亡くなっていた。というパターンが多いと言われています。また、お風呂場での異変は発見が遅れやすい傾向があります。家庭でのお風呂は一人で入るケースがほとんどなので、お風呂場で大きな音がしたり、今日ちょっとお風呂長くないかな?と感じた場合は、お声掛けして同居者の生存確認をお願いします。
様々な機能で入浴の安心をサポート
上位機種にはなってしまうのですが、浴室内の死亡事故を防ぐためのノーリツ給湯器の浴室リモコンの機能を紹介します。(リモコンRC-KW/GW/Gシリーズ)
「ゆるやか浴」湯温を徐々に上げて体への負担を軽減
「入浴タイマー」入浴経過時間をお知らせして長湯によるのぼせ対策
「浴室モニター」で気づきの遅れ対策!
など、快適な入浴時間を手助けする機器も登場しています。
また、浴室の断熱材を強化することや、脱衣室と浴室の温度差を少なくするリフォームが効果的です。床や壁をリフォームしてもいいですが、脱衣室用の暖房機の導入などもご検討ください。
脱衣室用暖房乾燥機<FR-3102WNS>
リフォームで考えるヒートショック対策の新常識
最近、ヒートショックは家庭において深刻な健康問題として取り上げられています。特に冬は浴室に入った瞬間、寒暖差を感じやすく、心血管系への負担が増加します。高齢者だけでなく例え20代であってもヒートショックは発生します。
入浴の対策としては、入る前に浴室全体を温かく保つこと、そしてお湯の温度を徐々に上げて入浴することが効果的です。
リフォーム業界の視点から、多くの家庭がこのリスクを軽減するために取り組んでいる対策についてご紹介します。まず、浴室・脱衣室の温度管理は欠かせません。在来浴室と呼ばれるふろ場やタイル壁の場合は、システムバスに入れ替えた方が良いでしょう。今のシステムバスの床や壁であれば断熱性能が格段に上がるのでそれだけで十分ヒートショック対策となります。
また、暖かい場所と寒い場所とを極力なくすリフォームがおすすめです。部屋内はもちろん廊下やトイレなどの壁や床の断熱性能を上げることはもちろん。温度変動の入口となる窓を2重窓にしませんか?2重ガラスでもいいですね。リビングや寝室においても2重窓・内窓は非常におすすめです。
リビングやダイニングとお風呂場が近い場合はドアを開けて、室温を平準化して下さい。浴室暖房乾燥機のグレードアップや脱衣室に温水式暖房乾燥機(ドライホット・カワック)を設置してもいいかもしれません。除湿器・サーキュレーター・ヒーターの設置もヒートショックの対策になります。
断熱性能が良くなるということは、冬季の室温”暖かさ”を保持するだけでなく、夏季のエアコンの”涼しさ”も維持できることに繋がります。さらに、壁・床・窓・ドアからの冷気や暖気を防ぐことは、屋外からの寒い/熱い空気の取り込みを減らし、室内の快適な温度を逃がさないため、ヒーターやエアコンのエネルギー効率を上げる省エネにもつながります。
安全に入浴を楽しむためのヒントとアドバイス
ヒートショックは、特に冬場に入浴する際の大きなリスクです。急激な温度変化が心臓や血管に負荷をかけ、最悪の場合は心血管疾患を引き起こす可能性があります。そのため、入浴前にはお風呂の温度をぬるめに設定し、自分の体温に慣らすことが重要です。さらに、約15分程度の準備体操を行い、体を温めておくことが推奨されます。
もし、入浴中にめまいや立ち眩みを感じた場合、転倒しないようにその場でしゃがみ、身体が落ち着くまで安静にしましょう。無理してはいけません。
アルコールと入浴
アルコールを摂取した後の入浴は特に危険です。アルコールは血管を拡張し、入浴中に血圧が急変する危険があります。体温調節を乱すため、入浴の際には十分な注意が必要です。
単純にヒートショックのリスクを助長している状況で入浴するという自覚を持ちましょう。『アルコール&ヒートショック ⇒ 死の危険』と隣合わせだということを自覚してください。入浴後に急激に体温が下がることで、さらにリスクが高まります。
このようなリスクを軽減するためには、飲酒後は2時間は待ってから入る。もしくはぬるめのお湯に短時間だけ浸かることが推奨されます。安全に、お風呂を楽しむための知識を得て、季節ごとの対策を実践しつつ、心身ともにリラックスしたひとときを過ごしましょう。
快適に入浴を楽しむためには、温度管理と飲酒のタイミングに注意を払いながらヒートショック対策を講じることが重要です。断熱材の見直しや、温度調整機能がついた給湯器の導入を検討することで、より安全な入浴環境を整えることができます。これらの対策を講じて、安心とリラクゼーションのひとときを楽しみましょう。
安心して美しいバスタイムを過ごすための総まとめ
近年、冷え込みが厳しくなるにつれ、ヒートショックによる健康リスクが大きな問題として浮上しています。ヒートショックは、急激な温度変化によって引き起こされる健康リスクであり、特に冬場の入浴時に注意が必要です。浴室に入る際、外気とお湯の温度差で心血管系に負担がかかることが知られています。これを防ぐためには、まずはお湯の温度を38〜40度に設定し、ゆっくりと体を慣らすことが重要です。また、入浴前に浴室を温めることで、より快適な入浴環境を作ることができます。 さらに、アルコールを摂取した後の入浴は、意識や体温調節能力に影響を与えるため、特に注意が必要です。飲酒後は血圧が変動しやすく、入浴中に意識を失う危険もあります。アルコール摂取後は、十分に時間を空けてから入浴することをおすすめします。 快適で安全な入浴時間を確保するためのポイントを押さえ、心身共にリラックスできるバスタイムを過ごしましょう。これからの季節、ぜひ参考にしてください。
さいごに
住環境を改善すること・ヒートショックの対策をすることは、ご自身のことはもちろんのこと家族の健康を守ることです。
肌で感じる温度差を緩和することで、身体への負担を軽減できます。また、「自分は元気だから大丈夫!」と過信せず、自分にも起こり得るリスクを理解することが大切です。本人だけでなく、家族や周囲の方が一緒に注意することも重要です。共に安全で快適な生活を目指しましょう。